火曜日ですのでいつものいきましょう。
今回はこちらです。
目次
10月からのインボイス制度、インボイス番号取得する場合・しない場合
①業務委託美容師にも「益税」はあるの?
免税事業者は消費税の納税義務がありません。お客さまから消費税をいただくとその分が利益となり、この部分が「益税」と呼ばれています。インボイス制度はこの「益税」を解消することを目的としていますが、業務委託美容師にも「益税」はあるのでしょうか?
業務委託美容師はお店から消費税を受け取っている認識はないかもしれません。でも、お店から受け取る報酬には実は「消費税」が含まれています。そして、業務委託美容師の多くは消費税の免税事業者であるため、結果として「益税」が生まれていることになります。
例えば月額44万円の報酬をサロンから受け取っている場合には4万円が消費税部分となり、ここから材料仕入などの経費支払いの際に消費税を支払っています。その差額を「益税」として受け取っていることになります。
②業務委託美容師がインボイス番号を取得した場合
免税事業者である業務委託美容師が今からインボイス番号の取得をすると、令和5年10月から「消費税課税事業者」となり、所得税の確定申告とは別に消費税の確定申告も必要となります。
消費税の計算方法には、次の3つの方法があり、どの計算方法にするかは自分で選択します。
【2割特例】
■ 報酬に含まれる消費税額の2割を納税する制度
・適用期間:令和5年10月〜令和8年まで(個人事業主の場合)
・適用条件:免税事業者がインボイス番号を取得した場合
・事前の届け出は不要
【簡易課税】
■ 報酬に含まれる消費税額を基本に計算される制度
・美容師の施術に対する報酬は第5種みなし仕入率50%で計算
・課税期間の初日の前日までに届け出が必要
(令和5年分は令和5年12月31日までに提出すれば適用可)
・簡易課税の届出済でも2割特例は選択可
【本則課税】
■ 報酬に含まれる消費税額と経費に含まれる消費税額から計算される制度
・経費に関する適格請求書の保存が必要
(支払う経費にインボイス番号があるかの確認が必要)
・簡易課税の届け出をしないと本則課税となる
それぞれの計算方法での、負担する消費税額の試算は以下の通りです。
水色部分は年間報酬に含まれる消費税の48万円。本則課税の場合、ここから経費分の消費税14万5600円を引く(=仕入税額控除)ため33万4400円となる③業務委託美容師がインボイス番号を取得しない場合
業務委託美容師がインボイス番号を取得しない場合、今まで通り、消費税の確定申告、納税は必要ありません。ただし、業務委託サロン側の消費税負担が変わることで報酬体系に影響を受けることは十分考えられます。
業務委託サロンが受ける影響
インボイス番号のない業務委託美容師への報酬は仕入税額控除が認められず、国に納める消費税が増加します。今のところ6年間の「経過措置」が認められており、消費税額は次のように推移します。
インボイス番号の取得を求めない場合、サロン側が負担する消費税額をどうやって吸収するかが経営上の課題になります。
インボイス番号の取得は求めない、その代わりに報酬を引き下げるといった話も出てくると思われますが、このような取引条件の見直しは独占禁止法違反行為や下請法違反行為に該当しないよう注意をする必要があります。
なかなか難しいですよね。
どれが一番良いのか、周りのオーナーさんや税理士さんに相談して決めていきましょう。
ご参考に。